ウチの部署では「システム会議」と称した飲み会が定期的に開かれるのだが、その「会議室」となるのが、天王寺某所にある昔ながらの某居酒屋。
ちょっと気難しそうで口数の少ない大将と、優しいお母さんという言葉がぴったりくるおかみさんの夫婦、それに愛嬌ある健康的な笑顔を振りまく娘さんがご家族で経営している(あと雇われ店員がふたりほどいる。)こじんまりとしたお店。
ここはおれの直属の上司がたいそうお気に入りで、三十年来足繁く通っているとのこと。おれも今の会社に入社して以来、上司に連れられて幾度となく足を運んでいる。おかげさまで、暖簾をくぐった瞬間に
「お兄さんたち、いらっしゃい!」
っておかみさんから笑顔で迎えて頂けるほどには顔なじみになっている。
直属の上司がずっと上海出張に出かけていたこともあり、この店に訪れるのは実に数ヶ月ぶり。いつもながら日本酒(ぬる燗)の徳利を傾けつつ、料理を堪能する。ここは酒も料理も本当に絶品で、おまけに一品あたりの単価が安いので言うことなし。唯一心残りだったのは、毎年この時期には楽しみにしている鮎の塩焼きが売り切れてたこと。
んで、帰り際にお店の裏側に呼ばれ、娘さんからおれたち全員にプレゼントが。お店が開業70周年を迎えたとのことで「七十周年」の文字と店の名前が記された徳利と枡(ます)を頂いた。これは常連の客にしか配っていないものだそうで、嬉しい頂き物だった。(それにしても、おれはこの店ゆうに100年ぐらいの歴史があると思ってたんで、意外と歴史が浅いことを知って驚きだった。いや、創業70周年っていえば決して歴史が浅いわけではないし、じゅうぶん老舗なんだけどね。)
ところで。
このとき娘さんからショッキングな話を聞いたんだよね。実は4月に大将が亡くなっていたとのこと。体調を崩しているとは聞いていて、そういえば今年に入ってからは顔を見てなかったんだけど、まさか亡くなっていたとは思わなかった。店を後にしたおれたち全員、すっかり足取りが重くなって黙り込んでしまった。
平日で店が比較的空いてるときなんか、店番が大将ひとりだけだと機嫌を損ねないように、おそるおそる注文してたっけな。んで、滅多に笑わない大将が照れたような笑顔で小声でボソボソと話しかけてくれると、安心するというか心底ホッとした気分になったモンだった。
「大将!」
って呼びかけて
「はい。」
って初めて振り向いてくれたときなんか、やっとおれも常連客だと認めてくれたのかなぁ、なんて意味もなく嬉しくなったりとか。(笑)
おそらく70歳に届くかどうかという、鬼籍に入るには早過ぎる年齢だったと思う。
心から、大将のご冥福をお祈りしたい。
帰り道、おれの脳内では長渕剛の「西新宿の親父の唄」が再生されていた。
続けざまに苦しそうなせきばらいをしてた
西新宿の飲み屋の親父が昨日死んだ
「俺の命もそろそろかな」って
吸っちゃいけねえ タバコふかし
「日本も今じゃクラゲになっちまった」って笑ってた
わりと寂しい葬式で春の光がやたら目をつきさしてた
考えてみりゃ親父はいい時に死んだのかもしれねえ
地響きがガンガンと工事現場に響きわたり
やがて親父の店にも新しいビルが建つという
銭にならねえ歌を唄ってた俺に
親父はいつもしわがれ声で俺を怒鳴ってた
錆ついた包丁研ぎ とれたての鯛をさばき
「出世払いでいいからとっとと食え」って言ってた
「やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ」
66の親父の口癖は「やるなら今しかねえ」
(「西新宿の親父の唄」 詞/長渕剛 歌/長渕剛)テーマ:関西の美味しいお店 - ジャンル:グルメ
- 2008/06/07(土) 00:03:05|
- 飲む・食べる
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| コメント:2
とんぼは好きですよ。あと、【初恋】【踊り子】も好きですね♪
とてもいい話ですね。居酒屋さんでも存在感の大きい人柄をもった素晴らしいファミリーの姿が目にみえるようです♪
ちあきなおみの赤トンボのリズムが頭の中を駆け巡りました。(笑)
サラリーマンにとっては、癒しの場所的な世界でしょうね♪
1日1日を大切に生きていきましょ♪( ̄▽ ̄)ノ″
- 2008/06/07(土) 02:36:18 |
- URL |
- ☆ANY☆ #-
- [ 編集]
>☆ANY☆さん
顔馴染みのお店の方が亡くなるというのは淋しいものがありますよね。あらためて、大将のご冥福をお祈りしたいと思います。
あと、長渕剛は「Myself」という曲がオススメです。
- 2008/06/07(土) 08:13:39 |
- URL |
- 望実 #-
- [ 編集]
長渕剛 をサーチエンジンで検索しマッシュアップした情報を集めてみると…
- 2008/06/07(土) 09:08:56 |
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