TRUE BELIEVER

もうふりむかない 戻れない昨日に 涙捨て 限りない明日を 信じていたい

歪んだ眼 Part1

今から20数年前のことになるのだが。
おれは中学生の頃に転居した関係で、転校を経験してるんだよね。
んで、これは転校先の中学校での出来事。書いてるうちに長くなってしまったので、エントリをふたつに分けることにする。

あれは確か、転校してまだ3日目か4日目ぐらいのことだったと思う。
詳しくは忘れたが、担任の先生から書類(たぶん転校の手続きとか、そういった類のもの。)を職員室まで取りに来るように言われ、休み時間に取りに行くことになった。

職員室はおれの教室とは別校舎のかなり離れた場所にあって、しかも学校施設の位置関係をまだ完全に把握しきれていなかったおれは、迷わずに職員室までたどり着けるか一抹の不安があった。

今にして思えば、あのとき誰かに頼んで一緒についてきてもらえば良かったのだが、おれにはまだ友達と呼べるほどの親しい人物がいなかったし、転校してきたばかりで周囲に遠慮もしていたから、不安を抱えつつも何とかなるだろうと考えて、ひとりで職員室に向かうことにした。そして・・・。

案の定というか不安は見事に的中、おれは完全に迷子になってしまった。おまけに右往左往しているうちに、おれは生徒が足を踏み入れてはいけないエリア(教師と外来客だけが通行を許されている通路。何故そのようなルールが設定されていたのかは不明。もちろん、転校して日が浅いおれはそんなルールなど知る由もない。)に迷い込んでしまった。

「おい!」
そんな折り、おれは後ろから声をかけられた。振り向くと、そこには今で言えば芋洗坂係長のような風貌をした中年教師がいた。どうやら生徒の立ち入りが禁じられている場所をうろついているおれを見咎めたようだった。

「そこのお前!」
芋洗坂は明らかに何かひと言物申してやろうといった感じでこちらに近づいてくる。しかし、何故か芋洗坂の目線はおれの方を向いていない。おれは違う誰かを呼んだのかと思い、あたりを見回した。しかし、当たり前のことだが周囲にはおれ以外に誰もいなかった。

おれは首を傾げながら、人差し指で自分自身を指さした。言葉は発しなかったが、
「ぼくですか?」
というジェスチャーをしてみせた。次の瞬間、芋洗坂の目つきと顔色が一変した。
「お前しかおらんやろがぁ!」
芋洗坂の怒号とおれの頬がバチンと張り飛ばされる音とが同時に鳴り響いた。

じつは、芋洗坂は両目とも斜視、つまり実際に見ている方向と眼球の向きが異なる病気だった。そして芋洗坂は、一部の心ない生徒たちから斜視を馬鹿にされていて、そのことを気にしていたらしかった。その点では、芋洗坂にも同情の余地が無いわけでもない。

しかし、当時のおれは転校してきたばかりで、芋洗坂が斜視であることも、それを馬鹿にするような生徒がいることも知らなかった。それどころか、おれは斜視の人物に出会ったことなど生まれてから一度もなく、斜視という目の病気があることすら知らなかった。そんなおれにしてみれば、自分が今なぜ怒鳴られて殴られているのか、さっぱり理解ができなかった。

「教師を馬鹿にするヤツは許さんぞ!」
いや、馬鹿にしてませんから。心の底から意味がわからんのですが。
おれは芋洗坂から平手打ちをさらに数発受け、襟首を掴まれて振り飛ばされた。倒れたところに蹴りを食らい、起きあがっては殴り倒され、また起きあがる。そんなことが何度も繰り返された。

おれは、自分が何故殴られているのか、さっぱり分からなかった。
そして、自分が何発殴られたのかも、さっぱり分からなくなっていた。

ただ、知らない間におれの両目から生温かくて塩辛い液体が大量にあふれ出ていることだけは分かった。

(続く)

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2008/08/26(火) 00:12:16|
  2. 過ぎ去りし想い出
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

私は中学で、西宮から横浜に転校したんですが、
転校初日は、人だかりができて「大阪弁で話してくれ」みたいな要求を突きつけられましたね。
ええ、無論流暢な標準語オンリーで対処しましたよ。
ひとりだけ当然ジャージも違ったりしていたので、
ヤンキーの先輩に絡まれたりね。「お前どこから来たんだ?」とか言われて、「関西です」なんて答えたら、
「なにわの怒りは恐ろしい」と謎のせりふを吐いてどっか行きました。その後彼からは、ずいぶんな高値で、ボンタンを売りつけられそうになったり、めんどくさかったな。
  1. 2008/08/26(火) 10:01:52 |
  2. URL |
  3. 黒羊 #-
  4. [ 編集]

転校生って絡まれる宿命・・・?

>黒羊さん

私は転校前の中学校はそんなに厳しくなくて、野球部でも丸刈りじゃなくてOKだったんですが、転校先では当然野球部は丸坊主だったんで、入部初日に
「髪の毛が長い!」
とか言って先輩に絡まれて、初日からいきなり一悶着起こしたんですよね〜。それが原因かどうか知りませんが、最初は何かと先輩から一方的に嫌われてましたね。フリー打撃でバッティングピッチャーの先輩からわざとぶつけられたりとかされましたし。

あとボンタン懐かしい響きですねぇ!
私も制服は学ランだったんで、はいてましたよ〜。そういえば最近はあーいうズボンはいてる中高生、全然見かけませんねぇ。(笑)
  1. 2008/08/27(水) 08:14:56 |
  2. URL |
  3. 望実 #-
  4. [ 編集]

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Author:望実(のぞみ)
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生年月日:197x.03.09
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出身地:兵庫県西宮市
生息地:大阪府
趣味:草野球・読書

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